個人的におすすめしたい中華圏のゲイ映画5選

ゲイ映画(中国風に言うなら“同志電影”)というジャンルで一括りにしてしまうことに、個人的には抵抗がある。が、あえて括らせてもらった。なぜかというと、日本ではこのようなジャンルの映画があまり盛んでないと思われたためだ。完全に女性消費者に向けられたBL映画ではなく、一般映画としてのゲイ映画が。

LGBTはここ10年でグッと身近になった話題だ。自分の周囲でも、同性愛者であることを公言している人がちらほらといる。別にそれを特別なこととも思わない。だってディズニーランドでレズビアンカップルが結婚式を上げる時代なんだもの。ティファニーは結婚指輪の広告に同性愛者のカップルを起用した。かつてはセクシャルマイノリティーだけが密なコミュニティーを構築していた新宿2丁目だって、今ではヘテロも気兼ねなく行くことができる一大観光スポットと化している。それなのに、日本映画界はなんでこんなにも保守的なんだろう。

中国は表現規制が非常に厳しい。特に同性愛作品についてはかなりシビアだ。こういった作品が作られる場合、大体撮影はゲリラで敢行されるし、本国では上映禁止になるパターンがほとんどである。その一方、日本では同性愛作品に対する規制はほとんど見受けられない。レンタルショップでは同性愛映画がいつでも借りられるし、街の本屋にはBLコミックスが平然と置かれている(BLコミックスをゲイコンテンツとして捉えることに私は少し懐疑的だが)。インターネット上での規制もない。それなのに、日本では同性愛を真っ正面から扱った映画がとても少ないように思える。私の記憶では、全国的に顔が知られている女優(緒川たまき)が出演し、かつ性愛にまじめに取り組んだ映画といえば『ナチュラル・ウーマン』くらいしか思いつかない。なぜなのだろう。このことについてもいずれ勉強しながらまとめていきたいと考えている。

 

ナチュラル・ウーマン [DVD]

ナチュラル・ウーマン [DVD]

 

 

そう考えると、香港・台湾はゲイ映画の先進国だ。ただ作品の合間に同性愛が扱われるのではなく、同性愛そのものがテーマになっている作品が多い。また出演している俳優の大多数がヘテロセクシャルでありながら、迫真的な演技を見せているのにも驚く。というわけで、今回、これまで見たゲイ映画がだいぶ溜まってきたのでレビューも含めて5つにまとめてみようと思う。あくまでも女性目線のレビューなので、腐れ女子に嫌悪感がある方は見ないほうが無難だと思われる。

 

1.『藍宇』

 

情熱の嵐 ~LAN YU~ [DVD]

情熱の嵐 ~LAN YU~ [DVD]

 

はじめはやはり、かなり評価の高い作品から攻めて行こうと思う。

私の中では『藍宇』抜きにして中国のゲイ映画は語れない!!!というくらい大切な作品。この映画を見た当時、あまりの衝撃で一日大学を休んだ。初心だった私。完全に骨抜きにされたと言っていい。

なんといっても注目したいのは、これが90年代の中国大陸で制作された映画だというこ、そして中国国内で最もタブー視されている天安門事件について作中で触れていること。これだけでも、かなり勇気ある映画であることがわかる。

 


Lan Yu 藍宇- YouTube

 

田舎から出て来た大学生、藍宇(ラン・ユー)は、仕事を紹介してもらうという形で実業家の陳捍東(チェン・ハントン)と出会う。捍東は両刀のプレイボーイで、捍東は藍宇の魅力に夢中になる。四ヶ月後、偶然の再会から二人の逢瀬が始まる。が、捍東の一時的な浮気が原因で、藍宇は捍東の元を去る。それが、天安門事件をきっかけに、二人はまた再会し、今まで以上に深く結びつくようになる……。

お互い深く愛し合っているのに、くっついたり離れたりを繰り返してしまうもどかしさになんとも悶々とさせられる映画です。

捍東は社会的に吊り支えられる何かがないと耐えられないタイプなのだろう。だから藍宇という本当に愛する人がいても、女性と結婚をし、でも藍宇は情人として近くに置いておきたい……そんなずるい考えを起してしまう。もちろん藍宇はそういうことが許せない。彼は捍東から身を引くのですが、その時、藍宇ははじめて捍東の前で涙を流すのが悲しい。

そんな彼も終盤で藍宇のすべてを投げ打って出た愛に直面したとき、すべての考えを改めるのです。「もうこいつしかいない」と。でも、最後の最後まで物語は二人に容赦がなくて……。捍東が何度自分を裏切ろうとも、じっと耐え忍び、一度でも愛してくれた人への愛を忘れない藍宇の姿には、なにか神々しいものさえ感じてしまう。

全然話は違うんですけど、ちょっと萩尾望都の『トーマの心臓』のトーマ・ヴェルナーを彷彿とさせるものがありました。藍宇はトーマと同じく、この物語のなかで恋神(アムール)的存在なのだと思います。隣人に対して、性愛を超えた愛を与えることができるキャラクターなのだろうなあ。

主演の劉燁(リュウ・イエ)は映画を見た当時、整った顔をしているのになんだか野暮ったい子だなあ…(でもそこがかわいい)という印象だったので、現在のスター然としたイエさんを見るたびに人ってこんなに変わるんだなあ…という気持ちになるのであった。しかも現在フランス人のお嫁さんとハーフの子どもさんがいると聞いてどっぎゃ〜〜〜って感じ。まあ、幸せそうでなにより。

 

北京故事 藍宇(ランユー)

北京故事 藍宇(ランユー)

 

 

小説版のがふたりのイチャコラ度は高いです。というか、正直すごくいいです。作者が女性なので当然なのかもしれないですが、ゲイ文学というよりは、やっぱりBL感を受けてしまうのですよね……しかし、日本のBLにはない熱量を感じさせる作品です。元はインターネットで発表された小説とあり、表現もかなり過激だったそうな。それらがマイルドになったバージョンがこちらとなります(元も読みたい!中国語できないけど!)

「北京同志」というペンネームも、これは身も蓋もない直訳すれば“北京のゲイ”ってことだし、作者ははじめ自叙伝としてこの小説を書いたらしいですね。でも、この世界観は女性にしか書けないとだろう。すごく美しく完結している物語だと思うから。藍宇はカラマーゾフの兄弟でいうアリョーシャだと思う。周囲がいくら悪に爛れようとも、彼だけが最後までただまっすぐに純潔なのだ。

この小説では、人目を気にしなければ抱き合えないふたりが、ふれあいたいのにふれあえず、悶々と堪えている感じがすごく上手く描写されている。また藍宇の不器用だけどもすごく懐の深いところも、映画以上にやさしく描き出されている。この小説を読み終えたあと激しい藍宇シックを患うことになった。とにかくもう、藍宇が愛しくてたまらない。

 

2.『スプリング・フィーバー

 

スプリング・フィーバー [DVD]

スプリング・フィーバー [DVD]

 

 

まさに春の嵐が目前を過ぎ去って行った、そんな印象の映画。

なんだかやるせない気持ちになった作品です。観終わった後も胸がひりひりする映画。

ここに紹介している作品のなかでは、ダントツに新しい映画なのですが、21世紀になってもまだまだ中国大陸は同性愛というものに対して理解があれなのかな〜うん……となる映画でした。すごく考えさせられます。

 


映画『スプリング・フィーバー』予告編 - YouTube

 

この映画はなんだか調べていくと、本当にすごい経緯を辿って作られた映画なんだなあということがわかる。日本でも上映中止騒動があったりとかね。ロウ・イエ監督は『天安門、恋人たち』を撮った後、五年間の撮影禁止を政府から命令されていた。でも、それに逆らってこの映画をゲリラ撮影。中国での検閲許可がおりていない状況での各国上映。

ある意味で、そういう抑制を超えた先に生まれたこの映画こそ、中国の「今」のゲイシーンを最もリアルに切り取っているのかなあなんて思ったり。確かにこの映画はゲイのセックスシーンがかなり多くある。しかし、どのシーンも息を呑む程美しい。

会社員の男と書店員の男(このふたりは恋人同士)、書店の男の妻、妻から夫の尾行を頼まれている探偵、そして探偵の情人である工場で働く女。……この五人が主要な登場人物だろうか。

一見混濁しそうなストーリーなんだけど、脚本がとにかく上手いので、するすると複数の糸が交わっていくように気持ちよく物語に没頭していくことができた。

 

会社員の男演ずるチン・ハオが、ゲイバー?クラブ?で女装して踊るシーンがあるんだけど、この場面の悲壮感は凄まじかったなあ。監督もはじめは女装させる気はなかったらしいんだけど、ちょっとみじめな感じを出したかったから女装させたと語っていた。その狙いは成功しているように思う。まだ、ニューハーフのようにキマってる女装ならいいのだが、まるでカツラをつけただけのような、粗雑すぎる女装……。

中国のゲイを応援したくなる映画だった。大陸といえばなにせ人口が膨大なので、比例してゲイの数も相当数いると言われている(数千万人規模)こういう映画が国内でつくられることを救いとする人も沢山いるんじゃないかな。『スプリング・フィーバー』が一日でも早く、中国国内でも上映できる日がくるといいなあ。

 

こういう映画が中国で作られるって本当にすごいことだ。日本、がんばれ!

 

 

3.『花蓮の夏』

 

花蓮の夏 [DVD]

花蓮の夏 [DVD]

 

 

ここで紹介しているなかで、唯一のスクールライフものです。

といってもよくあるただ爽やかな学園ドラマにあらず。多分今までみた映画の中で最も胸に詰まる青春映画でした……本気で切ないので、覚悟して下さい。

 


花蓮の夏- YouTube

 

ショウヘンとジェンシンは小学生以来の幼馴染だ。

多動症のショウヘンは小学校で突飛な行動をすることが多く、他のクラスメイトから嫌われていた。担任の教師は「ショウヘンの友だちになってあげて」と、ジェンシンを説得。それがきっかけで二人は友人関係になるように。そして、その関係は高校生になっても変わらずつづいていた。そんななか、香港からホイジャという少女が転校してくる。ホイジャとジェンシンは一緒に台北に出かけ、良いムードになるが、ジェンシンは途中でホイジャとのキスをやめてしまう。ジェンシンは自分が女性を愛せないこと、そしてショウヘンを友人以上に愛してしまっていることを自覚してしまう。

ここはさすが女性のカンというべきか、ジェンシンがショウヘンを好きでいることに気づいてしまったホイジャ。そんななか、ホイジャが気になり度々ちょっかいを仕掛けてくるショウヘン。ショウヘンはホイジャに告白する。彼女は「大学に合格したら付き合ってあげる」というが……。

 

f:id:sayonara0101:20151012070919j:plain

 (余談ですが、舞台となっている台湾・花蓮県はかなり地震が多い地域のようですね。映画の中でも地震のシーンが出てくる。このとき一緒に机に潜るとき、ショウヘンを見つめるジェンシンの目が切ない)

 

私はおそらく同性愛者ではないから、ジェンシンの気持ちのすべてはわからない。でも、もし私が同性を好きになったとして、相手が私の気持ちに気がついたとしても、お情けで「同情されること」だけは絶対に嫌だな、と思う。可哀想だから、と関係を持たれることは、屈辱でしかないはず。結末でジェンシンが彼と決別することを選んだのも、これ以上好きでいると、彼が友情を失いたくないあまりに、同情して関係を持ちつづけてしまうとわかったからだと思うんですよ。現に、抱いてしまったわけですしね。友情をつづけるためにはセックスもするって、ゲイの方からしたら屈辱でしかないですよね。ましてや好きだった相手に対して。

いや、私としてはこの二人はすでに友情の枠を超えていると思うんですが、それはあくまでもプラトニックな意味であり(魂の双子的な)肉体的には絶対に超えてはいけなかったんだと思います。そこを超えてしまったから、崩壊してしまった。「友情」と「性愛」を交換条件にしてはならなかったんだと思います。

 

f:id:sayonara0101:20151012071517j:plain

この二人が最終的にどのような道を辿ることになるのか……。私はそれを想像して、息が詰まるような感じがしました。映画としてかなりうまい。ショウヘンが無邪気に「ジェンシーン」と呼ぶ声がリフレインのように映画内にこだまするのが、かなり戦略的だ。

とにかくジェンシン役の俳優が上手い。唇のふるえ、目の動き、息づかいだけで、こんなにも相手を思う気持ちがわかるなんて。あまりにも切ない顔を連発してくるので、どうしてもジェンシンに感情移入してしまう。

余談だが、終盤三人が車に乗って海に行くシーンは、どこかスプリングフィーバーの男女三人に重なるものがある。

 

4.『美少年の恋』

ちょっとTSUTAYAでレンタルするのに勇気が要るタイトルだが、これはほぼ原題ままなのでしょうがない。でもこのタイトルに偽りはない…と思う。出ている俳優が見事に美形ぞろいなので、目に楽しい映画であることは間違いない。

 

美少年の恋 [DVD]

美少年の恋 [DVD]

 

 

映画は売れっ子コールボーイ・ジェットが街で客のオジサンを引っ掛けるところから始まる。ハンサムで目を引く彼だが、そんな彼が画廊でたまたま見かけた青年に一目惚れをする。彼は警官をしている、元会社員の青年サム。やがて二人は親しい関係になるが、なかなか発展しない。というのも、サムは過去に歌手志望の男性と付き合っていたことがあり、彼に貢ぐために当時付き合っていた恋人に売春をさせてしまった(しかもその恋人は偶然にもコールボーイの同僚で、現在まで売春から足を洗えずにいた)という後ろめたい過去があった。なので、どうしても恋愛に対して前向きになれない。そんな二人も、やがて結ばれることになるのだが、その最中をサムの父親に目撃されてしまう……。

内容としては、結構シビアだ。サムは自身が同性愛者であることをひた隠しにし、親の望む良い息子像を演じつづけた。まじめに働き、休日には両親に料理を振る舞うような理想の息子だ。それはひとえに同性愛者であることに対する後ろめたさから来るものだった。母親はそんなサムを誇りに思うと同時に、息子の両親に対する過剰な気遣いに心配もしていた。母親は、息子の恋人であるとも知らずにジェットに対して「サムの良い友人でいてね」と言う。うーん切ない。結末も、どうにかならなかったのかなあ…という感じ。はじめ見たときは唐突すぎて理解が追いつかなかったのだけど、観終わってからじわじわと悲しくなってくる映画。はじめがあまりにもキラキラしていただけに、後半のドロドロしたギャップが辛い。

 

f:id:sayonara0101:20151011071820j:plain

地味に好きなシーン。コールボーイの男の子と遊んでいる最中に、たまたま部下に会ってしまった客のオジサン…内心やべえええ…という状況。その状況を楽しむかのように、となりで微笑むジェット。この小悪魔っぽい感じが最高です。しかしスティーヴン・フォン、タートルネックが似合う。

 

香港の街中でロケをしているので、まるで香港をさまよっているかのような感覚に浸れて楽しい。もし香港に行くことがあれば、ぜひロケ地巡りなどをしてみたいなあと思う。

f:id:sayonara0101:20151011071649j:plain

そして、サム役の初々しいダニエル・ウーに注目。映画初出演でこの主役級の役を貰えてしまうのはすごい。アメリカの大学で建築を学んだ帰国子女で、撮影当時ほとんど広東語が話せなかったというのだから驚く。しかし、なんというか、本当に端正な美青年である。あまり日本人の俳優にはいない顔だと思う。かわいい、というよりは、本物の美形。切れ長の目に高い鼻、引き締まった口元というのが、香港美男子の条件なのかもしれない。

 

 

5.『東宮西宮』

f:id:sayonara0101:20090601210810j:plain

静かに美しいゲイ映画だと思います。

話自体は決して斬新と言えるものではないですし、構成もうまいとは言いがたい。語りだけで進行していくのなら、もう少し方法があったのではないか?と言えなくもない。ただ二人劇のように淡々とふたりを映している。同性愛映画で語り物っていうと『百合の伝説/シモンとヴァリエ(原題:Lilies)』というカナダ映画を思い出す。あれも哲学的ですごく美しい映画なんだけど、いかんせん途中で眠気が……ただ、過去の話を劇中で舞台化して回想する、という構成は見事だったので、やはり軍配はこちらに上がるかもしれない。

 

Lilies - Les feluettes [DVD] [Import]

Lilies - Les feluettes [DVD] [Import]

 

 

そんなわけで『東宮西宮』のはじめの印象は「冗長な映画」だった。しかし、このなんとも言えない余韻が、後々癖になる。 

現在ではVHSでしか流通していないし、それさえ入手が難しい。レンタルもよほど大きな店舗に行かなくては在庫がない状況だと思われる。確かに、かなり観る人を選ぶ映画だろう。しかし、この映画で一番興味深いのはその題材である。

「東宮西宮」とは紫禁城にある公衆トイレの通称であり、そこはたびたびゲイの逢い引きの場として使われているのだ。もちろん警官は抜け目なく公園を巡回し、怪しい男たちを見つけては一人一人検挙していく。しかし、捕まったと言っても思ったより厳しくなく「早くお家に帰りなさいね」的なのがちょっと面白かったけど……(笑)まあ決定的な証拠がない限り手荒なことはできないのかもしれない。そこらへんはゲイたちも抜け目がない。

主人公のアランもまたそうして東宮西宮で男と逢い引きを重ねているひとりだった。そんなとき、彼はひとりの警官に連行される。それが憧れの警官、小史だった……。

取調室(というには若干のどかな場所)で彼の半生が静かに語られるわけですが、これが非常に凄まじい。終盤の女装には度肝を抜いた。私は女装自体にあまり関心がないのだけれども、男性の化粧というのには非常に興味がある。ふだん媚態とは無縁の状態にあるはずの男性が紅を差すという行為に、一種背徳的なものを感じるし、抑圧されたものが解放される瞬間に、非常にエロティシズムを感じる。襟を正している人が、欲望に負け崩れる瞬間、というものに惹かれる。なので、彼の女装よりかは、女装を終えた後、男性の恰好のまま口紅が残っているところにとてつもない色気を感じてしまいました。口紅がついた男性ってなんでこんなエロティックなんでしょうかね。不思議です。 

頽廃がにおう映画が好きな人には是非おすすめしたい一本。主演の司汗は特別美形というわけではないんですが、すごく色っぽい俳優。しゃべり方、間の取り方ひとつひとつに言いようのない余情がある。

そして、彼の話す北京語はとにかく美しく、耳にやさしいです。物語自体が回想なのでほとんどが彼の語りによって進行するのですが、彼の発音、息づかいはすごく心地よい。彼は演劇畑の人のようですが、その後映画などには出演されていないようです。しかし、北京では劇人として現在も活動されているのだとか。

 

長くなりましたが、映画紹介は以上となります。

この流れだと、王家衛の『ブエノスアイレス』をなんで入れなかった!って言われそうですが、個人的にあの映画はゲイであることの葛藤というよりは、人間同士の葛藤に思えたんですよね。(最後のトニーでのモノローグでもわかるように、親子・恋人・友人に置き換えても通用する話なんですよね)それよりかは、同性愛者であることの葛藤や、まだ市民権が得られていない国の現状を静かに訴えているもののほうが「ゲイ映画」としては観られるべきなのでは?と思ったので、今回は外させていただきました。

 

ブエノスアイレス [DVD]

ブエノスアイレス [DVD]

 

 

もちろんこの映画がめちゃくちゃ優れていることは瞭然。また、個人的には人生の一本に数えられるほど影響を受けた作品でもあります。たぶん、王家衛のなかでも1、2位を争う完成度なんじゃないかなと思います。いずれこの映画についても記事に書きたいな。